資格を取得すれば、「明るい未来が待っている」という都市伝説を斬る!
はじめに 新しい自分になるために、「毎日1時間!」から始めよう/プロローグ たかが資格、されど資格/第1章 なぜ「1時間」なのか?/第2章 勉強を楽しく続けるための「ゲーム化」の技術/第3章 合格という結果を出すための「仕組み化」の技術/第4章 合格の最短ルートを照らすための「見える化」の技術/エピローグ 資格取得の本当の目的
レビューを見る
当たり前のことだが、資格試験を趣味でやっている人は少ない。
貴重な時間とけっして安いとはいえない受講料をかけて、どうして人は、資格を目指すのか。
ある資格学校のパンフレットをみると、資格を取ることにおけるメリットについて、以下のように記載されている。
(1)キャリアアップで社内での評価が高まる、
(2)資格手当など収入アップにつながる、
(3)やりがいのある仕事ができる、
(4)昇進のスピードが速くなる、
(5)社会的信用度が高まる、
(6就職・転職に有利に働く、
(7)独立・開業も夢でない等となっている。
しかし、本当にそうであろうか。
(1)は、単に資格を取ったからといって、社内での評価が上がると言い切れるだろうか。
資格を取得するには、それだけの労力を必要とする。
その労力は、当然勤務時間以外から捻出されるものであるが、資格に本格的に取り組めば、必ず日常業務に影響が出る。
すなわち、仕事がおろそかになったり、あるいは、会社での催事等の付き合いに参加しなかったりして、影響が出る可能性がある。
こういう犠牲を払って取った資格を、果たして会社が、単純に評価してくれるだろうか。
金融機関の中小企業診断士資格や、不動産会社の宅地建物取引主任者等の資格取得奨励など会社の特命事項ならば評価されることもあるだろうが、
だいたい資格取得は、人に知られず一人静かに取り組む場合が多いので、いきなり、資格取得を告げられた上司はよい気持ちはしないのではないか。
横並び主義の日本の会社で、ただ一人資格を取ることが歓迎されるわけではない。
さらに、意地の悪い上司になれば、仕事をサボってまで資格取得に励んでいたとその人間に罰点マークを付ける可能性すらあるのだ。
そもそも、日常の業務と資格とはほとんど関連性がないのである。
(2)の資格手当については、最近、一部の企業で取り入れられ始めているようだ。
しかし、これもあくまで一部の会社での話であって、すべての会社に当てはまると思ったら大間違いである。
会社の人事部が、自己啓発の勧めという名目で、社員に資格手当や報奨金を出す例は、今後も増えてくるかもしれないが、
あくまでも会社側が、社員にヤル気を促すための自己啓発モデルの一つと考えたほうがよい。
(3)のやりがいのある仕事ができるというのは、かなり怪しい。
例えば、昨日まで経理をやっていた20代の社員が、いきなり司法書士の資格を取ったからといって、法務部門に配置転換されるだろうか。
確かに司法書士の試験科目には、民法、商法等法律を熟知することにはなる科目があるが、実際の業務と知識は異なる場合がある。
20代の彼がもし、法務部門に行こうとするならば、会社での実務を身に付けて社内での評価を得るほうが早道である。
あくまで、実務と机上の理論は違うのだ。
(4)の昇進のスピードが速くなるについては、当てにならない。
私が友人の中小企業診断士の有資格者に話を聞いたところ、診断士には、3次試験に延べ15日間の実習がある。
現在、試験制度が改正されて、夏季と冬季の2期にわたって受講することが可能となったが、彼が、取得した当時は1月に連続して15日間の実習が義務付けられた。
これを受講しないかぎり診断士として登録できなかった。
当時は2次試験合格後、2年以内に受講22が必要だった。
しかし、普通の会社が結婚休暇でもないのに、連続して15日間の有給休暇を許すだろうか。
ちなみに結婚休暇でも7日間が原則である。
決算期を迎える重要な時期に会社を私用で1週間も2週間も休んだら、昇進のスピードが速まるどころか、完全に昇進に罰点マークが付いてしまう。
このように、資格取得者に対する会社の反応は微妙であり、
資格を取ったとばかり手放しでは喜べないのが実情である。
(5)の社会的信用度が高まるについては、一応信用してもよさそうである。
確かに名刺にもっともらしく○○士等と刷り込んであると、それだけで偉い人に会ったような錯覚に陥る場合がある。
しかし、社会は人を資格だけで判断するわけではない。
あくまで、その人の持っている能力で評価するのである。
むしろ、名刺に大層な資格が刷り込んであるが、まるで仕事ができなかったとなると、名刺に資格を刷り込んでない場合の倍は、逆に評価を落とすことにもなりかねないので注意が必要である。
(6)の就職・転職に有利に働くは、そういう場合も確かにある。
司法試験や公認会計士等のスーパー級の資格取得者ならば、企業の法務部や財務部等からは高い評価を受け、三顧の礼で迎えられる可能性が高い。
しかし、たかだか仕事の片手間で取った資格などに企業が高い評価を与えるだろうか。
ここを、見誤ると後々大変なことになる。
資格も結婚も同じで、こちらの思いと相手の思いは違うのである。
こちらの思いがいくら強くとも、「その程度の資格保持者なら当社にも腐るほどいますよ」と言われることもあるのだ。
こちらの思いと相手(企業)の思いが一致すれば、めでたく就職・転職ということになるのだが、果たしてそううまくいくものだろうか。
最後に、(7)の独立・開業も夢でない、であるが、これも当てにならない。
もっとも、「独立も夢でない」と絶対に独立・開業できるとは言っていないのがせめてもの救いなのだが。
これは、資格の種類や需要と供給のバランスによるところが大きいと思われる。
つまり、弁護士、司法書士、税理士、公認会計士、不動産鑑定士等は、独立・開業型資格である。
もっとも、上記の資格は、難易度も高く簡単には取得できないが、専門分野も法律でしっかり守られているから、独立・開業できて当然である。
しかし、注意しなければならないのは、どんな資格取得者でもいきなりは独立・開業できないということである。
資格試験の最高峰といわれる弁護士でさえ、いまだにイソ弁という徒弟制度が残っているではないか。
さらに、これとは別な要因がある。
需要と供給のバランスが大切なのである。
今や、完全に飽和状態に達しているといわれる税理士には、苦労して資格を取得しても税理士の供給過多で、今後は簡単には開業できない可能性もある。
また、公認会計士との競合もある。
後の機会に詳しく触れるが、絶対数の多い資格は、基本的に独立・開業には向かないし、仮に開業してからも同業他者との厳しい競合がある。
一方、中小企業診断士やファイナンシャル・プランナー等の確固たる専門分野を持たない資格はどうか。
極端な話、誰でも好きに○○コンサルタントを名乗れるのである。
そういう点、診断士等の資格は法的に全く守られていない。
これは逆に言うと、診断士は診断士と称しながら、何を業としていても構わないということになる。
だから、診断士が傍らに文筆業をしていても、歌手養成教室を営んでいても構わない。
極端な話、パチプロをやっていたとしても何ら支障はない。
逆に何でもできて、どんな領域へも参入できる分だけ、診断士の資格の魅力があると言ってもよい。
資格には様々な使い方や生かし方があるのだ。
お気に入りのブックマーク・RSSに登録 »
関連記事
サイトマップカテゴリー:資格の現状
トラックバック(0)
http://blog.shigoto-shikaku.com/mt/mt-tb.cgi/2247



