社会保険労務士
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社会保険労務士の仕事
労働社会保険関係の法令についての専門知識を持って、中小企業に対し適切な労働指導を行う労務管理の専門家である。
社会保険労務士の業務内容は、大きく分けて3つある。
1号業務の行政機関への提出書類の作成・提出手続きの代行業務、2号業務の事業所の帳簿書類の作成業務、3号業務のコンサルティング業務である。
このうち1号業務と2号業務は、社会保険労務士の独占業務である。
試験の概要
試験科目は、労働科目の労働基準法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法、雇用保険法、労働保険料徴収法、労務管理その他の労働に関する一般常識と、
社会保険科目の健康保険法、国民年金法、厚生年金保険法、社会保険に関する一般常識の計10科目となっている。
試験は、選択式問題と択一式問題から構成されている。
平成11年までは、労働省が試験の直轄官庁だったが、平成12年から全国社会保険労務士連合会が直轄で試験を実施することになった。
試験は毎年、8月最終日曜日に行われる。
選択式が午前中に、択一式が午後に行われる。
合格率は、年度によって多少の差はあるが、約7割の正解が合格ラインといわれている。
また、科目によっては、足切りの最低ラインがあって、総合得点でクリアしてもはねられることもあるので、注意が必要である。
社会保険労務士は、いわゆる一発試験であり、1回で合格できる可能性もあるが、合格率は低く、ここ10年間は7〜9%台の難関試験となっている。
勉強時間は人によっても差があるがおおむね500時間から1000時間程度は必要といわれている。
合格者は、会社員が約半数を占めたが、無職の人も3割近くいる。
年代別の合格者は、30歳代が約4割ともっとも多く、次に20歳代となっている。
試験に合格しても、2年以上の実務経験等が必要となるが、実務経験のない場合でも、労働社会保険諸法令関係事務指定講習を受けることにょり社労士資格を取得できる。
事務指定講習は、試験合格後翌年の2月〜5月の4カ月間の通信指導教育と7月から9月にかけての連続4日間のスクーリングからなっている。
講習終了時に修了書を付与されると、社会保険労務士としての登録要件が備わる。
試験合格から登録までほ最短でも1年間はかかるので、ストレートで合格したとしても受験勉強を始めてから最短でも2年間は必要である。
増え続ける社会保険労務士
時代のニーズに沿って、急速に増加している社労士だが、この10年間で、受験者数と合格者数は、2倍以上の伸び率を示している。
現在、社会保険労務士登録者数は、2万強である。
このうち、独立・開業をしている社労士は半数以上、企業内で社労士として登録している非開業社労士、その他法人と続く。
しかし、この数字はあくまでも登録されている社労士の数であり、実際は試験だけ通っても登録をしていない人はこの数倍はいるといわれている。
平成14年の試験でも合格者のうち開業登録者は、そのうちの約15%、非開業登録者が5%で、残りの80%は登録をしていない。
資格を取得しても即登録しない人が多いのも社労士の特徴の一つと考えられる。
しかしこれは別の考え方をすると、単に昔、資格を取得したからといって業界に長く影響力を持っている税理士などと比べると、業界自体の新陳代謝が進んでいると捉えることもできる。
法改正のスピードが速く、その流れについていけない社労士もまた多いのである。
さらに近年は女性の社労士も増え、平成14年の試験では全体合格者の約32.0%を女性が占めた。
この背景には雇用情勢の変化や女性の社会進出等労働環境の変化に伴い、女性としての社労士の役割はますます重要性が増していることにある。
社労士事務所の売り上げについては、開業後5年目くらいまでは数百万〜500万円とかなり低いが、その後10年ぐらいをめどに1000万円程度に達するといわれている。
社労士は事務所を構えなくても自宅で独立・開業可能な資格士業といわれているが、売り上げとは別にかかる経費である通信費、交通費等も当然考慮しなくてはならない。
独立から開業まで
社労士は、中小企業診断士等と同様、資格を取得したとからといっていきなり独立・開業に踏み切る人はほとんどいない。
その理由の一つは、社労士の扱う業務分野が広すぎることにある。
特別な専門領域を持たない社労士は独立しても最初は仕事がないことが多く、
労務管理や労働保険、社会保険、年金相談等の自分の専門分野をしっかり身に付けることが独立への最大の早道となる。
そのためには民間企業で実務を身に付ける方法もあるが、しかるべき社労士事務所で、数年間実務経験を積みながら専門分野を身に付け、その後独立・開業という方法がもっとも安全で、かつ確実な方法といわれる。
また、顧客獲得のためには、人的なネットワークが不可欠である。
日ごろから税理士、弁護士、行政書士等他の士業との連携を深めておくことが肝要である。
一般的に社労士や税理士等の地域密着型の独立開業は、後発組ほど不利になる。
先に独立すればするほど有利にクライアントを獲得しかつ維持できる。
目的意識があり確固たる専門分野が決まったら、早めに独立・開業の準備に取り組むのも一つの方法である。
社労士の将来性
社労士の世界にも規制緩和の流れとともに、以前は社労士が扱うことができなかった労働社会保険諸法令に基づく不服審査制度の事務代理権が付与されて、労働者の立場に立った役割が強く求められるようになっている。
雇用環境においては、年俸制や能力主義の導入で事実上の終身雇用制が崩壊し、多くの企業では抜本的に賃金体系を見直す必要性に迫られている。
また、契約社員や派遣社員、外資の進出等で労務管理のあり方そのものが問われている。
さらに、少子高齢化の進展や確定拠出型年金の導入に伴う年金制度への関心の高まりや、複雑化する年金体系への不安や疑問を受け、社労士の役割はますます重要視されている。
しかし、社労士の役割が増す一方、さらに有資格者の数が増えれば社労士業界も税理士業界のように今後、飽和状態を迎えるのは間違いない。
現在でも、既に数万人の潜在独立・開業予備軍といわれている人々がいる。
彼らが定年退職後、あるいは定年前に一斉にこの市場になだれ込んでくる可能性はないのだろうか。
しかし、実際はそんな状況は考えにくい。
それほど魅力的な市場ならば、現在でも既に巷は開業社労士であふれているはずである。
有資格者たちは、社労士資格を取得しただけでは独立できないことを知っているから、その大部分が企業内にとどまっていると考えたほうがよい。
労働関係の法令は、毎年のように改正されるので、社労士は、たとえ資格を取っても日ごろから法令の勉強を怠れない。
例えば、10年前に社労士の資格を取った人は、現在、資格取得時の知識をそのまま生かすことはできない。
長年、実務から離れていたら、なおさら勉強をし直さなければならない。
社労士は日ごろの能力の研鑽が必要である。
こういう状況の中、社労士の生き残る道はあるのか。
近年、介護業務に参加する企業が徐々に増えてきて社労士の役割がますます望まれているが、これは企業内社労士の仕事であり、一般的には開業社労士の仕事ではない。
今後、生き残る方法の一つは労務関係を全体的にフォローできるコンサルタント業に進出することである。
単なる申請書の作成や届け出業務だけではなく、労務のスペシャリストとしての社労士業である。
個人一人では無理でも、互いに専門分野の異なる社労士と共同で事務所を開き、総合労務コンサルタント業を営む等というのも今後の方向性としては正しい。
互いに強い相乗効果が発揮できれば将来性もある。
また、他の士業である税理士事務所と顧問契約を結ぶことや、税理士事務所において労務関係の仕事は一切引き受けるという方法もある。
平成15年4月の社会保険労務士法の改正で、社労士法人は支店開設が可能となった。
自己資金がなく開業困難な社労士にとっては朗報である。
行政書士や宅地建物取引主任者とのダブルライセンスやファイナンシャル・プランナーの資格取得という選択肢もあるが、業務を拡大しすぎて逆に効果を生まないこともあるので開業の際は慎重に取り組みたいものである。
資格を取得したら企業の中で専門の知識を生かし、実務を身に付けることが肝要である。
社内で評価され労務の専門家として認められることが、独立・開業前まで不可欠である。
あくまで人気だけにとらわれて独立・開業に踏み切るのは得策ではない。
資格試験を受けずに社会保険労務士になる方法はあるか?
社会保険労務士には、税理士や中小企業診断士等と異なり、いわゆる資格の抜け道はない。
弁護士の資格を有する者が、社労士として登録できる程度である。
試験科目ごとに免除はあるが、完全に試験を免除されるわけではない。
社労士になりたければ、試験を受けて合格することが一番の早道である。
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