行政書士
39法令+7つの法理論で出題分野を幅広くカバー。
昭和62年~平成20年試験の条文出題傾向を、出題回数表示・出題例に区分。出題回数表示には記述式・多肢選択式などの出題形式を、出題例にはひっかけ箇所表示・解説を示した。
巻末には平成20年度試験の試験問題と解答例を登載している。
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IT化の進展、「電子政府」の登場で仕事量減少が予想される。
独立・開業は、独自の専門分野で活路を見出す。
行政書士の仕事
行政書士は他人の依頼を受け報酬を得て、国や地方公共団体などの官公庁へ提出する許認可等の申請書類の作成ならびに提出手続き代理、遺言書等の権利義務、事実証明および契約書の作成等を行う。
行政書士の業務は広範囲にわたり、扱う書類の数は、7000種類以上にも上る。
試験の概要
試験科目は、13科目からなる法令科目と一般教養からなっている。
法令科目は、基礎法学、憲法、行政法、行政手続法、行政不服審査法、地方自治法、税法、行政書士法、民法、戸籍法、住民基本台帳法、商法、労働法で、択一式と記述式からなる。
一般教養は、すべて択一式で出題される。
平成12年の試験改正で受験資格の定めがなくなった。
これにより誰でも受験できることになった。
また、平成12年度から論述試験がなくなったこともあって試験が受けやすくなった。
平成12年以降は受験者数が確実に増えている。
行政書士試験は、すべての資格試験の登竜門的な性格を持っている。
司法試験、司法書士、社会保険労務士等さらに上位の資格を目指す人にとっては入門的な資格試験である。
合格率は例年、10%程度で推移している。
平成14年は、約6万7000人が受験したが、合格率は19.2%と平成13年の合格率11.0%を大きく上回った。
合格最低点は、60%以上であるが、試験科目ごとの得点が、いずれも当該試験科目にかかわる満点の50%以上と足切りがあるので注意が必要である。
合格者の年齢は20代が約半数を占め、30代と合わせると合格者の約8割を占める。
OLや学生にも人気が高く、他の資格と比べどの世代にも受験生がいる人気の資格試験である。
行政書士試験は一発試験であり、そのため一発合格も可能であるが、そのためにはやはり十分な勉強時間が必要である。
合格者の平均勉強時間は、500〜700時間程度といわれている。
行政書士の仕事の特徴
各都道府県に登録されている行政書士の数は平成15年6月30日現在で3万7251人(日本行政書士連合会)である。
この登録者のなかには弁護士、弁理士、公認会計士、税理士等の資格取得者で行政書士会に登録・入会した者も含まれているので、それを除くと行政書士専業者は実際は、6000〜7000人程度といわれている。
また、行政書士登録者のうち約半数は、税理士などと同様に公務員退職者といわれている。
行政書士だけを業とする人を表す専業率の割合は全国平均で約50%となっている。
東京等の大都市は行政書士専業者が集中している一方、地方は司法書士や税理士等との兼業行政書士が多い。
司法書士は資格取得時に行政書士資格を付与されないが、事務所開業後は司法書士と行政書士を兼業する人は比較的多い。
もともと行政書士は、司法書士へのステップアップ資格として位置付けられる性格を持っているからと考えられる。
行政書士の取り扱う領域は極めて広いが、業務上の効率を上げるためには、独立してから一定の期間を過ぎるまでに何か専門分野に特化していく必要がある。
何でも広く浅くこなすよろず屋より、確固たる専門分野を持っている行政書士のほうがクライアントをつかみやすく、頼りにされる。
実際、ベテラン行政書士になるほどしっかりした得意分野を持っている場合が多い。
代表的な分野としては以下の業務がある。
・建設業許認可関係 ・自動車登録関係 ・風俗営業許可関係 ・国際法務関係
・不動産関係 ・産業廃棄物許可関係 ・経営管理関係 ・開発許可関係
・農地法関係 ・会社設立関係 ・内容証明関係 ・相続・遺言関係 ・各種契約書の作成等
独立から開業まで
行政書士の業務を行うには、日本行政書士会連合会において、法定事項の登録が義務付けられている。
登録と同時に各都道府県行政書士会への入会届けも行われることになっている。
登録だけして入会はしないということは認められていない。
行政書士は、他の士業のように実務経験がなくとも即独立・開業が可能であるが、
他の士業の試験が仕事と直結しているのに対し、行政書士資格は仕事と試験が直結していないという特徴がある。
業務範囲が広い行政書士の仕事は、請け負った仕事が今まで一度も手がけたことがないという場合もよくある。
このため、基本的な実務を覚えるために他の行政書士事務所や法律事務所で一定期間、実務経験を積んだほうが得策である。
そして、回り道した分、独立・開業後もスムーズにいくといわれている。
これらの事務所で培った人的ネットワークが後々独立・開業後も仕事に生かされることになってくるからである。
案件の程度によって、弁護士や司法書士から仕事を請け負ったり、逆に仕事を回したりするギブアンドテイクの関係が独立開業後も継続するからである。
扱う業務範囲が広い行政書士にとって、新しい法律が制定されたとき、または法改正が行われたときが業務を拡大するチャンスとなる。
行政書士の主要6分野といわれる自動車、風俗営業、建設業、国際法務、不動産、経営管理等の許認可案件は、新規に独立・開業した行政書士にとっては、実際はなかなか参入しにくい領域である。
新しい法律が制定されたとき、あるいは法改正されたときが新規の顧客を獲得し、専門分野を開拓する千載一遇のチャンスとなるのである。
行政書士が事務所を構える場合は、自宅でも可能だが住宅街よりも商店街の中に構えるほうが少なくとも仕事の点からは望ましい。
司法書士や税理士、社会保険労務士等の他の士業との総合事務所を開くケースなども考えられるが、ネットワークも持っていれば単独事務所でも十分仕事はこなせる。
行政書士の中には相続・遺言等民事系の仕事を専門としている者もいる。
扱う範囲が広いのでさまざまなタイプの行政書士がいる。
副業で併せて損害保険代理店業務を営んだりするケースもある。
一般的に開業しても数年ほどは仕事が少なく、下請けで単価の安い仕事も進んでやることになるので苦しい状況が続くが、一定期間が過ぎ専門分野を開拓できると収入は安定してくる。
開業後はいかに独自の専門分野を開拓できるか、また、絶え間ない営業努力の積み重ねで新規顧客を獲得できるかで成功するか否かは決まる。
市民にもっとも近い法律家として住民との信頼関係が第一である行政書士は、町の集会や異業種交流会等にまめに参加して、市民やクライアント、他の士業等と積極的にネットワークづくりに励む必要がある。
独立開業しても単価の低い仕事に長く甘んじるか、専門分野を持ち付加価値の高い仕事で高額の報酬を得るかは、本人の才能と努力次第である。
行政書士の将来性
書類の提出の代理権や民間の契約における代理権の新たな付与や相談に応ずる業務範囲が拡大されて、行政書士の業務も拡大している。
しかし、これは他の士業も同様で、資格の世界でも規制緩和によるボーダーレス化が進展していることを示している。
行政書士の場合、他の士業に先んじて広告宣伝の自由化と報酬額の自由化が実現されたが、報酬額の自由化は扱う範囲が広い行政書士にとって薄利多売になりやすい危険性を持つ。
1枚数千円程度の単価の仕事も断れないとなると、行政書士の仕事の効率性は低くなる。
一度付けた単価は、なかなか上げられないので最初が肝心である。
また、オンライン化の動きが行政書士の分野にも及び、書類作成・提出代理の仕事は今後、減少することが予想されている。
現在の日本社会は、政府のe-JAPAN構想によって、あらゆる場面で「電子化(IT化)」が進んでいる。
行政の分野においても「電子政府」を実現しようとしている。
行政の分野で今後IT化が進めば、事務手続きの簡素化により行政書士の仕事量も減少することが考えられる。
従来どおり許認可案件ばかり手がけてきた行政書士にとっては、今後は厳しい時代が来ることが予想される。
また神奈川県の場合、税理士の約25%は、行政書士登録をしているというデータがある。
行政書士の分野にも税理士が進出していることがわかる。
このような状況を乗り切るためには、これからの行政書士は自分にしかできない固有の専門分野を持つことである。
代書的業務から複雑多岐なコンサルティング分野への転身も不可欠となろう。
この世界にも公務員OBの参入があり影響力もあるというが、確固たる専門領域を持って仕事をしている行政書士にとってはそれほど脅威とはならない。
市民にもっとも近い法律家としての役割を担う行政書士も、今後は付加価値の高い仕事のできる行政書士だけが生き残ることになるだろう。
行政書士になれる条件
次の各号のいずれかに該当する者は、行政書士となる資格を有する。
1.行政書士試験に合格した者
2.弁護士となる資格を有する者
3.弁理士となる資格を有する者
4.公認会計士となる資格を有する者
5.税理士となる資格を有する者
6. 国または地方公共団体の公務員として行政事務を担当した期間および特定独立行政法人(独立行政法大通別法第2条第2項に規定する独立法人をいう。以下同じ)の役員
または職員として行政事務に相当する従事を担当した期間が通算して20年以上(学校教育法(昭和22年法律第響号)による高等学校を卒業した者
その他同法第56条に規定する者にあっては17年以上)の者
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