不動産鑑定士
第1部 総論(不動産の鑑定評価に関する基本的考察/不動産の種別及び類型/不動産の価格を形成する要因/不動産の価格に関する諸原則/鑑定評価の基本的事項/地域分析及び個別分析/鑑定評価の方式/鑑定評価の手順/鑑定評価報告書)/第2部 各論(価格に関する鑑定評価/賃料に関する鑑定評価/証券化対象不動産の価格に関する鑑定評価)
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時代のニーズは常にあるが、資格取得まで最短でも4〜5年はかかる難関資格。
民間企業での評価も高い。
不動産鑑定士の仕事
不動産鑑定士の業務は、公共から依頼される地価公示・地価調査、相続税路線価等に関する評価と企業や個人から不動産の評価を依頼される鑑定評価業務と土地の有効活用の提案、再開発・共同ビルの基本計画策定、区画整理に関する業務、需要予測のためのデータ分析、不動産投資支援業務、補償業務等のコンサルティング業務からなる。
試験の概要
国家資格のなかでは、司法試験、公認会計士試験と並ぶ難関試験の一つである。
試験は、1次試験から3次試験まであるが、2次試験が、事実上の不動産鑑定士試験となる。
科目は、(1)民法、(2)不動産に関する行政法規、(3)経済学、(4)会計学、(5)不動産の鑑定評価に関する理論の5科目からなる。
公認会計士第2試験合格者は、民法、あるいは経済学および会計学が、司法試験第2次試験合格者は、民法が免除される。
科目によってもバラツキがあるが合格ラインは、おおむね60%以上といわれている。
なお、総合点のほか試験科目ごとに一定の得点を必要とする。
不動産鑑定士の受験者数は、他の資格に比べ比較的少ないのが特徴であるが、その理由は、不動産鑑定士試験に受験資格の規定があるからである。
事実上の本試験といわれる第2次試験は、大学卒、短大卒等でないと受験資格が得られないという事実上の制限がある。
また、バブル崩壊以降景気が低迷し不動産取引等が減少しっつある背景があって、不動産鑑定士の受験者数は、他の資格に比べ比較的少ないレベルで推移している。
平成14年の2次試験は2481人が受験して380人が合格した。
合格率は例年、約15%となっており350人前後が合格する。
試験は難関のため、勉強期間は最低でも2年程度は必要であり勉強時間も合格までは2000時間以上は要するといわれている。
また、この試験は2次試験に合格しても2年以上の実務経験を経て不動産鑑定士補となり、さらに1年以上の実務補習を受講しないと3次試験に進めない。
3次試験の合格率も30%程度とけっして高い数字ではない。
スムーズにいった場合でも受験から不動産鑑定士の登録まで早くとも4〜5年かかる計算である。
受験開始から資格取得までに時間がかかりすぎるのがこの資格の特徴であり、かつネックとなっている。
不動産鑑定士は不動産関係の最高峰の資格で、不動産業界や金融業界からの受験者が多い。
難関資格だけに付け焼き刃的な勉強では対応できず、相当な覚悟を持ってじっくり時間をかけて試験に臨まないと合格はおぼつかない。
不動産鑑定士の仕事の特徴
不動産鑑定士の数は、現在で6500人と他の資格士業に比べ、比較的少数であり供給過多という状況ではなく、業界全体の需要はあるといわれている。
しかし、バブル崩壊後不動産取引の減少とともに、民間の仕事が減ってきていることも事実であり、以前のように待っていれば仕事が自然に来るような時代は終わった。
また、不動産鑑定士は他の資格士業に先駆けて唯一法人化をして業務を行えることが特徴の一つであったが、
近年法改正があって税理士や司法書士、社労士等にもこの法人化の制度は認められた。
一般的に、東京、大阪等の大都市圏の不動産鑑定士の仕事は、民間からの鑑定業務とコンサルティング業務に従事する鑑定士が多く、地方に行けば行くほど公的な仕事の比重が増す傾向があるのが鑑定士の特徴である。
バブル時期に、大口の案件ばかり手がけてきた鑑定士は落ち込みが激しいというが、もともと不動産仲介業者ほど派手な性質の仕事ではないので、手堅く仕事をしてきた人は大きな打撃は受けていない。
不動産業は従来から信用が第一の商売なので、常日ごろ顧客との信頼関係を築いたり、会計士や弁護士、税理士等他の士業とネットワークを構築することは鑑定士においても不可欠である。
独立から開業まで
信託銀行等の企業の不動産鑑定部門等以外の一般企業に勤めていると、2年以上の実務経験を積むことができない。
そのため、2次試験合格後鑑定士資格を取得するために、共同事務所に入所するのが一般的な独立・開業までのパターンである。
この間、仕事を覚えるため比較的低賃金で働くことを覚悟しなければならない。
鑑定士事務所で数年の実務経験を経た後は実務補修を受けて3次試験に通れば、開業は可能であるといわれている。
鑑定士には税理士のような暖簾分け制度は特にないが、経験の長短による年功序列はある。
また、2次試験に合格さえすれば、即実務に携われるのもこの資格の大きな魅力である。
不動産鑑定士自体の絶対数が少ないので、独立・開業が比較的容易だが、年齢的には30代半ばくらいからが独立に最適な年齢といわれている。
独立すれば本人の実力次第で大きな仕事ができるチャンスもあるが、本人の才覚によるところが大きい。
事務所を構える場合、最初は自宅の一角に開業することからスタートすることもできる。
しかし、地方なら自宅開業が可能でも、首都圏で開業するならば将来を見据え中心市街地に事務所を構えたいものである。
また、資格を取得しても引き続き総合鑑定事務所等に就職する鑑定士も多い。
不動産に関するすべてのコンサルティング業務に精通するために、独立までこのようなステップを踏む鑑定士も多い。
一方、地方で独立・開業する場合は公共団体からの仕事を受託できないと苦しい。
不動産取引自体が少ないので、地方では公共団体を固定のクライアントにするために県、市町村等の地方自治体に対して普段からの地道な営業活動が不可欠である。
不動産鑑定士の年収は最低でも1000万円程度といわれ、中には数千万円稼ぐ鑑定士も珍しくない。
時代は不動産に関するスペシャリストを求めている。
難関で希少な資格だけに資格取得後、独立・開業しても生活に困らないだけの年収は稼げる。
資格取得までの苦労が報われる数少ない資格である。
不動産鑑定士の将来性
バブル崩壊以後、不動産業界の低迷とともにこの業界も厳しい局面を迎えている。
不動産鑑定士本来の業務である鑑定評価は、公的評価である地価公示、地価調査等は、恒常的にあるが、すべての不動産鑑定士が公的業務に携われるとは限らない。
民間企業からの依頼である民間評価も不良債権絡みの案件以外はバブル崩壊以降、不動産取引の減少とともに減少する傾向にある。
不動産売却、購入の評価や税務上の交換の評価、担保評価等の業務は減りつつあるが、民間業務でも新規分野には期待できる。
平成12年度から施行された民事再生法やバブル崩壊後、
企業が不動産に対する証券化を導入する動きや、世界的な流れを受けた国際会計基準である時価会計の導入等に対して不動産鑑定士の活躍の場が、今後も多数用意されている。
また、コンサルティングの分野には大きな将来性がある。
共同ビルやマンションへの投資、採算分析や、土地の有効活用の提案等をトータル的に提案できる不動産鑑定士は今後もニーズが高いと考えられている。
今後、不動産鑑定士は独占業務である地価公示、地価評価等の公的業務から、より民間業務にシフトしていくであろう。
半面、依然として公的業務だけを扱っている鑑定士は厳しい局面を迎えると思われる。
不動産に関するコンサルティング分野で独自のビジネスプランを提案できる鑑定士のニーズは今後もさらに増え続けることは間違いない。
不動産鑑定士資格が受験しやすくなる
不動産鑑定士の試験制度にも公認会計士試験制度等と同様に簡素化の動きがある。
国土交通省は、不動産取引を活性化するため、不動産鑑定士制度の抜本改革に踏み切る方針を決めた。
先述したように、現在日本の不動産鑑定士の数は6500人で米国の10分の1に過ぎない。
このため、市場の十分なニーズに対応できないという問題もあるようだ。
抜本改革は昭和39年の制度創設以来、初めてのことである。
現在の試験は1次から3次まであり、取得まで日額短でも4年かかるが、新試験制度では、試験を3次から1次に減らし、実務経験は問われない。
この結果、資格取得までは、試験1修習期間1終了考査という流れになり期間は最短2年になる。
試験自体が簡単になる訳ではないが、受験しやすくなることだけは確かである。
時間の制約があり、勉強が困難なサラリーマンや学生にとっては朗報である。
また、現行制度での鑑定士の正規業務は政府の基準に基づく正式な鑑定だけだが、新制度では簡単な資産の評価とコンサルティングも業務の一環とすることになる。
国土交通省では、平成16年の通常国会で不動産鑑定士評価法を改正し、法整備を急いでいる。
今のところ、業務範囲の拡大は平成17年、試験制度の簡素化は平成18年の実施を目指す見通しである。
不動産鑑定士試験の免除について
不動産鑑定士試験においては、司法試験や公認会計士試験の合格者に一部科目の免除はあるが、試験が完全に免除される特典はない。
税理士や、司法書士、中小企業診断士等が一定期間の実務経験や関連の大学校への通学といった方法で資格を取得できるのに対して、
不動産鑑定士資格は、試験を受けずに取得することはできない。
ただし、試験自体は司法試験、公認会計士と並ぶ難関資格の一つといわれているので、試験に臨むにはそれなりの覚悟が必要である。
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