司法書士
試験合格に必要な法令・通達・判例・先例を1冊にまとめ、出題可能性の低いものは割愛して編集した。
また、原文カタカナの法令は平仮名表記に改め、難解な法律用語にはルビを付けているので、法律初学者、独学者の方でも条文の意味が理解できる。
重要法令について、平成10年度から平成20年度までの試験に出題された条文に出題年度を明示し、典型的な出題例を示したことで、その条文がどのような形式で出題され、どのような箇所をひっかけてきたかを検証できる。
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登記のオンライン化の進展で事務処理中心型の仕事は転換期に。
簡易裁判所の訴訟代理権付与、成年後見制度で巻き返しなるか。
司法書士の仕事
司法書士は、登記に関する書類を作成する専門家であり、主要な業務は不動産に関する登記業務である不動産登記と会社に関する登記の商業登記からなっている。
平成15年4月に改正司法書士法が施行され、日本司法書士会連合会が実施する研修を受講し、考査を受けて合格した者に対し、簡易裁判所における民事訴訟、和解、調停等の代理権の付与が認められた。
また、同時に登記・供託手続き等について、相談に応じることができる正当な権限が認められた。
試験の概要
試験は、1次試験と2次試験からなっていて、毎年7月の第1または第2日曜日に1日で行われる。
試験科目は、
1次試験が、択一式で民法、商法、刑法の3科目、
2次試験は、不動産登記法、商業登記法、民事訴訟法、民事執行法、民事保全法、供託法の6科目で択一式である。
また、不動産登記法と商業登記法には書式の試験もある。
午前中の試験、午後の2次試験の択一式は、それぞれ足切りがあって、それをクリアしないと、書式の採点をしてもらえないという試験である。
平成15年の試験からは、新たに試験科目に憲法が加えられた。
受験資格制限は特になく、学歴、年齢、実務経験、国籍等に関係なく誰でも受験することができる。
平成14年の試験は約2万5000人が出願したが、合格者は701人で、その合格率は2.76%と資格試験の中でも非常に受かりにくい試験となっている。
例年600人程度の合格者だったが、受験者の増加とともに平成14年度の試験では合格者が初めて700人を突破した。
合格ラインは、択一式も書式もおおむね8割を取れれば合格できる試験といわれているが、例年の合格率が2%後半で事実上の、競争試験である。
筆記試験合格者に対して、10月に口述試験が課せられる。
例年、ここで落とされる人はいないが、試験制度の改正でこれも若干変わる可能性がある。
試験が難関であるので最低でも15カ月から20カ月程度の勉強期間は必要であり、受験回数も1回で合格できる人はほとんどいない。
2回あるいは3回目で合格する人が多い。
合格者の年齢は、24歳を下限として30代が中心で、合格者全体に占める比率は約8割に達する。
司法書士の仕事の特徴
各都道府県の司法書士会に登録されている司法書士は、約2万人である。
これらの司法書士の主要な業務は、登記業務であり、その8割は不動産登記業務といわれている。
裁判所に提出する書類を作成する訴訟業務もあるが、仕事の絶対量からいうと登記業務に比べて圧倒的に少ない。
バブル期には登記業務だけでも十分な仕事量が確保できた司法書士の仕事も、バブル崩壊とともに不動産取引が減少しており、それに伴い不動産登記の数も減少している。
登記業務は司法書士にとって安定した収入源となるが、収入の柱とするためには一定の数をこなす必要があるので薄利多売型の業務になりやすい。
現代の司法書士の仕事は、不動産登記等事務処理中心の量の仕事から質の仕事への転換期に来ている。
日本では弁護士が都心部に集中する傾向があり、弁護士の数の少ない地方の市町村では、司法書士は身近な法律家として大きな役割を担っている。
従来は文書代書屋的なイメージのあった司法書士も小額訴訟等の普及で高度な法的判断能力が求められている。
司法書士の収入は他の士業に比べると比較的安定していて、年間平均報酬額は平成13年の日本司法書士会連合会の調査では1400万円である。
しかし、実際の司法書士の収入は、ここから必要経費である事務所の家賃、通信費、OA機器などの費用、交通費、従業員の給料等を差し引いたものになる。
独立から開業まで
司法書士の資格を取得した者は資格取得後、大部分は独立・開業に向けてスタートするようである。
親や親戚が司法書士事務所を開いている等の特別な場合を除き、司法書士として独立する場合、やはり資格を取得してから、最低2〜3年程度の実務経験は必要となる。
登記や訴訟等の実務を他の司法書士事務所や法律事務所で経験して、その後独立・開業に踏み切るケースが一般的である。
従来どおり登記中心業務で開業するならば、法務局の周辺での開業が一般的といわれてきた。
しかし、この原則は必ずしも当てはまらなくなりつつある。
登記のオンライン申請が進む今後、法務局の近くに開業するメリットは少なくなると考えられるからである。
また、企業等の商業登記業務や顧問契約等で相談業務が中心ならば、やはり、アクセス面で街の中心である駅に近い立地が向いている。
いずれにせよ今後、司法書士として開業するのであれば、
人や企業の集まる場所に事務所を構えることが有利だと考えられる。
独立・開業の際、人との信頼関係が基本の司法書士は人的ネットワークの構築が急務である。
最近では、互いに専門分野を持った司法書士同士が共同で事務所を開いたり、他の資格士業と仕事を紹介し合うケースもある。
司法書士の将来性
バブルのころは不動産登記で活況をロ王した司法書士も、バブル崩壊以降は不動産取引も減少し、不動産登記が主要な業務の司法書士にとっては厳しい局面を迎えている。
司法書士にとって、安定した顧客といわれた金融機関もデフレ不況の中、今後もいつ破綻したり企業統合等が起きるか予断を許さない。
それでも一般の顧客からの不動産登記の仕事のある司法書士は恵まれている。
最近では、IT革命の流れの中で商業登記のオンライン申請が検討され始めている。
登記のオンライン化の流れは不動産登記にも及んでいる。
法務省は、平成16年の通常国会に不動産登記のインターネット経由の申請・受付を可能とする不動産登記法改正案を提出し、平成16年中には窓口に行かなくても登記申請ができることを目指している。
インターネットを利用して誰でも複雑な登記業務が簡単に申請できるようになると、従来、司法書士にしか行えなかった登記業務が一般の人でも申請可能になり、登記業務で高額の報酬を得ていた司法書士にとっては、今後は仕事が減少し今後は淘汰されていくことも考えられる。
経済的安定のために登記だけを主要な業務としていた司法書士も、
今後は仕事に新たな付加価値をつけたり、他の司法書士と差別化を図る等さまざまな努力が必要となっている。
報酬の自由化に加えて、広告宣伝等も自由に行えるようになったことで、業界内での競争も激しさを増すことが予想される。
さらに、司法試験制度自体の改革も司法書士には影響をもたらすと考えられる。
司法試験管理委員会は、平成15年も司法試験の合格者数を1200人程度にすることを予定している。
同様に平成16年には合格者を1500人と段階的に増やす予定である。
司法書士業界自体の流れとしては明るい話題もある。
平成15年より簡易裁判所の訴訟代理権付与や相談業務の権限の明確化等が新たに司法書士に与えられた。
これは、日本司法書士会連合会が実施する100時間程度の研修を受講し、かつ考査をパスした司法書士で法務大臣の認定を受けた者について権限が認められるものである。
平成15年は3789人の司法書士がこの考査を受験し、新たに2989人に簡舶旭裁訴訟代理権が付与された。
成年後見制度、クレサラ問題など市民により近い立場で司法書士の活躍の場は広い。
また、「司法書士法人」という名称で税理士同様に法人を設立し会社組織でビジネスができるようになったことは、業界全体にとっても信用力が増すことにつながる。
このように国民にもっとも近い法律家の司法書士だが、その将来性はどうか。
規制緩和の流れを受けて、弁護士に徐々に近づいていくイメージの司法書士だがそのフィールドは簡易裁判所に限られている。
裁判所に訴えるときに求める価格である訴額についても90万円以下に限定されている。
弁護士の数も今後相当数増加していくことが決まっている以上、地方では頼りにされる司法書士の立場も微妙となる。
業界としては、定型化された業務以外に紛争解決型の新しいタイプの司法書士が登場することが期待されている。
登記業務だけ行っていれば安定した仕事ができた平和な時代は終わり、問題解決能力とクライアントへの提案能力がある司法書士だけが生き残る時代となるだろう。
ボーダーレスな時代を迎え、新たな局面を迎えた司法書士。
生き残りをかけ依頼者の高いニーズに応えられるノウハウを持ち、紛争解決型のコンサルティング型司法書士こそ時代が求める司法書士である。
専門分野以外にも税理士や不動産鑑定士など他の士業と組んで共同事務所を設けたり、
国際渉外業務や企業コンサルタント等新しい分野に踏み出すことなど、今後の厳しい時代を乗り切ろうとする司法書士像が予想される。
司法書士になるためには
司法書士になるためには、一般的には試験を受けて合格することである。
しかし、裁判所事務官、裁判所書記官、法務事務官、検事事務官として通算して10年以上経験を積んだ人は、「特認制度」と呼ばれる制度が設けられていて、法務大臣の権限で特別に司法書士資格を得ることができる。
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