マンション管理士
第1編 マンションの法令・実務/第2編 管理組合の運営の円滑化/第3編 マンションの構造・設備/第4章 マンション管理適正化法
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10年後には、築30年のマンションが100万棟。
時代のニーズは高いが、独立・開業は未知数。
マンション管理士の仕事
マンション管理士は、平成13年8月に施行された「マンション管理の適正化の推進に関する法律」により、新たな国家資格として誕生した。
マンション管理士は、マンション管理業者と管理組合との間においてトラブルが生じた場合、管理組合等から相談を受け専門的知識をもって、管理組合の運営、建物構造上の技術的問題等マンション管理に関して、管理組合の管理者等またはマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業務とする。
試験の概要
試験科目は、(1)マンションの管理に関する法令および実務に関すること、(2)管理組合の運営の円滑化に関すること、(3)マンションの建物および付属施設の形質および構造に関すること、(4)マンションの管理の適正化の推進に関する法律に関することの4科目からなる。
問題数は、50問4肢択一形式である。
受験資格は特になく、年齢、性別、学歴、実務経験に関係なく誰でも受験できる。
試験は、平成13年から実施されたが、初年度の受験者は9万6000人を超え、予想以上の人気であった。
一方、合格者は7200人余りで、合格率は7.4%と低く、初年度の合格率は比較的高いという従来の国家資格の常識を覆す結果となった。
試験は、日月の最終日曜日の午後1時から3時まで行われる。
試験実施機関は、財団法人マンション管理センターである。
平成14年度の合格ラインは、50間中36間正解であり、平成13年度に引き続き高い正解率が要求された。
平成13年度の試験は、区分所有法で難問が出題されたため、多くの受験生が困惑したといわれる。
平成14年は、その反動で受験者数が約5万3000人と前年度より減少した。
平成14年度の合格者の平均年齢は、42.9歳と比較的中高年の受験者が目立った。
合格するための勉強期間は、不動産業界にいる人で3〜8カ月といわれ、合格までに要する勉強時間は最低でも300時間程度は必要である。
重複する試験科目が多いことと、どちらか合格すると「マンション管理適正法」の5問が免除される優遇制度があるので、ほぼ同時期に実施される管理業務主任者の資格試験にも挑戦する人も多い。
宅地建物取引主任者との併願も多いという。
マンション管理士になるためには、試験合格後マンション管理士として登録することが義務付けられている。
管理士の仕事の特徴
マンション管理士は、日本におけるマンション住居が全国で約400万戸、居住者数約1000万人という時代背景から誕生した。
日本のマンションの管理業務は、その85%が、管理会社に管理業務を委託しているといわれている。
従来は、管理会社任せであった管理費や修繕積立金が実際どのような使われ方をされているのかチェックするのがマンション管理士の仕事である。
また、マンションにおける三大トラブルの原因である騒音問題、ペット問題、駐車場問題のほか、建物の老朽化に関する構造上の問題等々幅広く問題を解決することがマンション管理士には求められている。
具体的な仕事は、事務管理業務といわれ管理運営会社が行っている出納業務、会計業務、管理運営業務等をマンション管理士が行う場合である。
管理組合へのアドバイザーを務めたり、管理会社が行う業務に対して管理親金に代わってチェックをしたり、メンテナンスや修繕に対するアドバイスを行ったりするのもマンション管理士の仕事である。
自分の財産を自分で守る時代においては、マンション管理士の存在は必要である。
マンションに関するさまざまな問題に対する専門家は日本では恒常的に不足しているので、時代のニーズにマッチした資格と言ってもよい。
マンション管理士は、合格した者でなければ称することはできない「名称独占資格」であるが、
弁護士や公認会計士などのようにその資格を持っていなければ業を行うことのできない「業務独占資格」とは異なる。
独立から開業まで
平成13年に認知された新しい資格なので、独立・開業してもいきなり仕事が入ることは難しい。
独立・開業後は、まずは管理組合との信頼関係を築くことが肝要である。
分譲マンションの所有者である管理組合と信頼関係を築けば、日常の管理業務等の相談以外にも何年後かに行われる大規模修繕等の大きな業務を任されることにもなる。
また、マンション管理士においても他の士業と同様、専門分野を持つことが必要である。
建築のノウハウに詳しいとか、マンション会計、法務関係に明るい等何か得意分野を持つことがマンション管理士として成功する秘訣となる。
建築関係については、建築設備の知識は当然であるが、長期修繕計画、大規模修繕に関する知識等が要求される。
マンション会計については、長期修繕計画を策定したり、積立金問題等の相談に応じられる能力は最低限必要である。
また、法務については、区分所有法やマンション管理適正化推進法等以外にも建築基準法、消防法、建設業法等を熟知しておくことが望まれる。
保険についても、火災保険、積立型保険、地震保険、個人賠償責任保険等の知識が必要である。
自分自身でこれらのノウハウを持たなくても、他の士業との共同事務所を設立する方法もある。
弁護士や税理士、建築士等はパートナーとしてふさわしいと思われる。
独立・開業を目指す人は、他の資格とのダブルライセンスも有効となる。
マンション管理士と行政書士、司法書士、宅地建物取引主任者、税理士、建築士等の資格とを併せ持っていると、独立・開業後は仕事がしやすい環境が整う。
マンション管理の仕事以外でも個別の組合員からさまざまな相談を持ちかけられ仕事を請け負えることにもなる。
比較的受験年齢層が高いことからも定年後の第二の仕事として、また、自らのスキルアップのために今後はマンション管理士の資格を取得する人が増えることが予想される。
独立・開業しなくともマンション管理士資格を取得していれば、マンション管理会社や不動産会社、金融機関等でのキャリアアップや転職等に有利である。
マンション管理士の収入は、管理組合との委託契約により報酬が支払われることになる。
1管理組合当たりの1カ月の相場は5万円程度といわれるので、10件の管理組合と契約をすれば、月に50万円の報酬が支払われる。
また、最近アドバイザー制度も整いつつある。
東京都が実施している「分譲マンション管理アドバイザー制度」では、アドバイザー1人につき、1回2時間以内で1万円の報酬規定が設定されている。
マンション管理士の将来性
10年後の2013年には、築30年を超えるマンションが100万棟に達するといわれる日本の住宅事情の中で、マンション管理士の役割やニーズは今後急増すると思われる。
しかし、できてまだ間もない資格である。
社会的認知度も低ければ、ステータスも現在はそう高いものではない。
これから4〜5年たてば認知度も上がり、その役割、重要性も理解されてくるだろう。
資格自体に目新しさがあり、マンション管理士の需要に供給が追いつかないここ数年のうちに資格を取得することが肝要である。
将来性は未知数だがニーズは高い。
やはり、マンション管理士もすべての士業と同じように、本人の才覚、努力次第である。
管理組合との信頼関係の上に立って、かつ、固有の専門分野の知識を発揮できれば、独立して成功する可能性はある。
また、管理組合と管理会社において締結された契約書について、管理組合に重要事項を説明することを業務とする管理業務主任者については、30の管理組合に対して、管理会社に1人以上管理業務主任者を置くことが義務となった。
人材の流動化が激しい管理会社にとっても、今後管理業務主任者が常時必要となることが考えられる。
管理業務主任者は、管理会社に一定の設置義務があることから今後人気が高まる可能性があるので、合格率が比較的高い今のうちに取得することが望ましい。
「第二の宅建資格」といわれるこの資格は、取得すれば転職等にも有利である。
試験実施機関は、マンション管理士とは異なり、社団法人高層住宅管理業協会である。
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