資格取得費用は、何年で元がとれるか?
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資格に対して趣味で取り組む人間はいない。
まれにいるかもしれないが、それは定年後余った時間を自己啓発に当てているようなごく一部の人である。
資格は取得することによって、時として昇進、昇格に役立ったり金を生み出したりする、思わぬメリットをもたらす可能性を持つので皆争って資格取得に走るのである。
それでは、実際一つの資格を取るのに一体どれだけ金や時間がかかるのだろうか。
例えば、税理士を例に挙げて考えてみよう。
Aさんは、大学を卒業して、3年目の25歳。
会社勤めにもそろそろ飽きてきた。
ここらで、一念発起して何か資格を取ろうと考えた。
せっかく資格を取得するのだから、ゆくゆくは独立・開業し一国一城の主になりたいという夢がだんだん膨らんできた。
税理士の場合、仕事をしながらだと取得までに早くとも5~7年程度はかかる。
Aさんは、経理部門という部署で経理を担当しているので、決算時期以外は割と時間のやり繰りができた。
早々、資格の専門学校に入学し、税理士受験を目指した。
5年後の資格取得を目標にし、退社後毎週2回学校に通い1コマ当たり3時間の勉強をする、いよいよ受験生活が始まった。
税理士は、合格まで最低でも2500時間程度の勉強時間が必要である。
1年1科目取得という計画でも、1年500時間という勉強時間は確保しなければならない。
しかし、この500時間という数字が、確保するのにいかに困難な時間かわかるだろうか。
人間は、大学受験生でもないかぎり1年365日毎日、勉強することなどできない。
特に仕事を持っていれば、そこに必ず不測の事態が生じる。
つまり、学習時間が確保できない。
Aさんは、付き合いもそこそこに年間250日学習時間を確保したとしよう。
それでも1日にすれば約2時間である。
普通のサラリーマンがほとんど毎日、帰宅後2時間も机に向かえるだろうか。
それでもAさんは意志が強かったので、5年間この習慣を崩さなかった。
念願がかない、5年目30歳のAさんは税理士の5科目の試験科目に合格した。
Aさんが税理士取得に費やした期間は5年、費用は約100万円である。
この100万円は、1年間に20万円というもっとも安い受講料で試算したもので、模擬試験やオプション講義の費用は含まれていない。
賢明なAさんは、そのまま会社に残り今も独立・開業するそぶりは見せないが、一体彼は資格取得で何を得たのだろう。
今のところAさんは、定年後の備えとして税理士資格を位置付けているようだが、税理士試験に合格したからといって即独立・開業できる資格ではない。
会計事務所等に数年勤務して独立していくのが通常のケースなのである。
Aさんは、会社を辞めて飛び出す勇気は持っていなかった。
このように資格を取得しても即独立・開業しないAさんのようなケースは実際は多いのである。
今度はBさんという人のケースである。
Bさんの資格取得の動機こそAさんと似たり寄ったりのものだが、Bさんの場合はAさんと異なり税理士資格を夢見て早々と会社を退職してしまった。
Bさんは会計事務所に勤務しながら、税務実務を学び5年間税理士を目指して頑張ったが、いまだに科目が2科目しか取れていない。
最近では試験に対する気力も萎えてきてしまっている。
Bさんとしては今さら後戻りできないし、かといって年齢の点からも転職もできない状況である。
資格に人生を賭けてしまった良くないケースである。
ここで、話を戻すが一体資格とは、何年で、そしていくらをかけて取得すれば元が取れるのだろうか。
簡単なシミュレーションをしてみよう。
Aさんが税理士として、独立・開業した場合
Aさん30歳で資格取得後、5年間会計事務所勤務を経て35歳で独立・開業の場合
(1)開業後のAさんの平均所得を1000万円とする。
(2)65歳まで、現役で仕事を続ける。(この間、ブランクはない)
(3)会社員時代の平均年収を500万円とする。
A氏の生涯年収は、22歳から30歳までの会社務めの8年間の収入と税理士開業後の所得の合計ということになる。
5年間の会計事務所勤めの間の年収は生活できる程度として、ここでは考慮しない
一方、Aさんが資格取得後も会社勤めを続けて、定年まで働いてその生涯賃金が平均的なサラリーマン生涯賃金の3億円になったとしよう。
すると、税理士になった場合の年収と会社勤めの年収の差は、
34,000万円-30,000万円=4,000万円となる。
この場合では、少なくとも所得においてAさんにとって会社勤めより税理士になったほうがよかったということになる。
もっとも、この比較は定年後の年金を考慮に入れていないので厳密に言うとどちらが有利かはわからない。
また、最近では税理士も70歳過ぎまで現役で仕事をするケースも多く、Aさんが心身ともに健康ならば65歳以降も現役を続ける可能性は十分考えられる。
つまり、このようにすべて独立・開業にとって良い条件が揃い、やっとサラリーマンと互角の勝負ができるということである。
それほど、独立・開業は世間でいうほど甘くはないのである。
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