覚えたことを忘れない「起きがけ復習法」
せっかく記憶した知識を時間の経過とともに次々に忘れてしまっては、これまでの努力も水の泡です。
そうならないために、記憶を保持しておく対策を講じる必要があります。
記憶の保持については、古くから心理学者がさまざまな実験を繰り返してきました。
しかし、ひとつをのぞいて、抜群の効果が確認された事例はいまだにありません。
心理学者のだれもが認めるように、やはり反復こそが最良の手段なのです。
「寝ているときはよけいな情報も入らないので寝る前に覚えたことは忘れないですむ」というふうに解釈されています。
しかし、心理学の世界ではこの説を真っ向から否定する意見もあり、睡眠時にはいろいろなことを忘れていっているという正反対の主張をしている精神医学者もいます。
私はこれらの説を併せ考え、「起きがけの復習が効果的」と考えています。
眠ることで忘れずにすんだものを記憶として保持するにせよ、眠ることで曖昧になりかけた理解を回復させるにせよ、翌朝に起きてから何をするかが重要だと思うからです。
翌朝復習のテクニックは、私自身、記憶力アップの極意として受験生にも伝授しています。
これまでにかなりの効果を上げていますが、併せて週末の復習勉強を行うことで、記憶の定着率はさらに高まるようです。
社会人が勉強する場合、仕事に忙殺されて復習がないがしろにされるケースが多いようです。
しかし、若い頃に比べて、記憶力そのものは低下しているのですから、社会人こそ、復習プロセスを大事にしたいものです。
では、いったいどれくらいの時間を復習にあてればいいのでしょうか。
この点について、クリューガーという心理学者が興味深い実験を行っています。
一定の数の単語を覚える際の復習時間を比較する実験です。
それによると、単語を覚えるのにかけた時間の半分の時間を復習にあてた場合と、覚えるときと同じ時間をかけて復習した場合とでは、記憶の保持率に大差はなかったというものです。
復習は長ければいいというものではありません。
短時間に、効率よく進めるように心がけたいものです。
私が「起きがけ復習」をすすめるのは、そうした意味もあるのです。
記憶力を高めるポイントとしてもうひとつ、「よけいなことは覚えない」ということを指摘しておきましょう。
よけいなことを覚えることが、記憶保持の妨げとなるからです。
心理学の世界に、「逆行抑制」という言葉があります。
新しいことを覚えると前に覚えていたことを忘れるということを意味しており、個人差はあるにせよ、だれもが日常的に経験していることと思います。
前述のジェンキンスとダレンバックの実験は、就寝中は逆行抑制が起きにくいと考えることで説明がつくとされています。
繰り返しインプットすることで記憶を保持する復習は、まさにこの逆行抑制への対処法といえます。
それに加えて、よけいなこと、無駄なことを覚えないという心構えで臨めば、必要な情報、知識の記憶はより効果的にできるはずです。
資格試験などの勉強でも、「覚えることは最小限にするのが成功の鉄則である」という意見があります。
出題傾向を分析し、試験に必要な情報と不必要な情報とに取捨選択をして記憶として取り込むことで効率的な勉強ができるという発想です。
そもそも知識というのは、「使える」状態で頭に残してこそ意味のあるものです。
豊富な知識を備えていることと、やみくもに情報を入力するのとでは根本的にちがいます。
「入力情報は少なく、それでいて頭に残る知識は多く」というのが理想的記憶テクニックなのです。
よほど記憶力に自信がないかぎりは、入力段階で情報を取捨選択することはとても大切なことなのです。
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