柔軟な推論能力がビジネスの可能性をグンと広げる
心理学の世界では最近、認知心理学に注目が集まっています。
これは人間の知的活動をコンピュータになぞらえて、いわば情報処理過程としてとらえるのが特徴です。
そして、この認知心理学には、二一世紀を不安なく生きることを保証する能力 − 「ビジネス心理戦」に勝ち抜くすぐれたビジネス思考力を身につけるうえでの重要なヒントが数多く隠されていると私は考えています。
認知心理学の世界では、人間の思考を「知識を用いて推論を行うこと」と定義しています。
ここでいう「知識」は、学校で勉強する英単語や数学の定理のような断片的なものに限定されません。
経験を積み重ねることで身につける、いわゆる経験知のようなものも含んでいます。
人間は新たな問題にぶつかったとき、それを解決しようとさまざまな推論を行うものです。
それは無から有を生むような作業ではありません。
過去の経験や知識を動員して脳のなかであれこれシミュレートしながら、問題解決のための答えを導き出号っとします。
このプロセスは、ときに本人の自覚のないまま、無意識のうちに行われることもあります。
それが自分の得意分野であったり、シミュレート作業に慣れている場合は、その傾向はいっそう顕著になるでしょう。
すぐれたビジネス思考力を備えている人は、じつはこの推論を行う能力に長けているのです。
新商品の開発を例にとって、人間がどのように推論を行っているかをもう少し詳しく見てみましょう。
自分やまわりの人たちが開発のプランを立てていく姿を思い出してみると、過去の経験、データなどをもとに推論を繰り返し行っていることに気づくはずです。
その際最もベースになるのは、どのようなものが売れたか、その商品のどの点が評価されたか、逆にどういう点に不満が集中したかなどの経験的情報です。
そして、他社製品の評価、まったく異なる分野での流行、売れ筋、トレンドなどの知識をすべて活用しながら、どのような商品をどの程度の価格で売ればいいかを推論し、検討しているはずです。
こうした思考作業は、ビジネスにかぎらず、人がものを考えるときに常に行っているものです。
学校で教わる数学などもまったく同じで、問題を解く際に、自分がこれまで身につけてきた解法という知識のどれが使えるかを試しながら、あれこれ推論を行って答えを導き出しています。
まさしくこれが、思考プロセスの原則なのです。
その意味では、ビジネス思考力を磨くには、経験知を含む広い意味での「豊富な知識」を備えることが重要なポイントになります。
知識が多ければ多いほど、さまざまな形で推論が可能になるからです。
しかし知識を使って推論を行うには、知識を単にもっているだけでなく、使いこなす能力もまた必要です。
こうした知識や経験から上手に推論を行う能力を、生まれながらに備えている人もたしかにいます。
しかし、トレーニングによって、どんな人でも磨きをかけることが可能なのです。
その方法にはさまざまなものがあり、たとえば、定石を覚え状況に応じて使い分ける将棋や囲碁、あるいは解法パターンを覚えて問題を解いていく数学や物理の勉強などは、認知心理学の立場からいえばすぐれた思考トレーニングといえます。
より身近なところでは、毎日必ずロにする料理なども、場合によっては思考トレーニングに応用することができます。
たとえば、イタリアンの知識を使って和食に応用するといった工夫は、まさしく思考トレーニングのl種です。
実際、優秀な料理人と呼ばれる人たちは、推論を行ううえでベースとなる豊富な知識をもち、これを使いこなす思考力にすぐれているものです。
いずれにせよ、すぐれたビジネス思考力は、経験的なものを含めた知識の豊富さと、これを自在に使いこなして豊かな推論を行う思考力の両輪によって成り立っているといえます。
ちなみに、推論を豊かにするトレーニングそのものは、毎日の生活のなかでも簡単にできるので、ビジネス思考力の向上をめざして日々努力に励んでいただきたいと思います。
お気に入りのブックマーク・RSSに登録 »
関連記事
サイトマップカテゴリー:ビジネス思考力を鍛える勉強法
トラックバック(0)
http://blog.shigoto-shikaku.com/mt/mt-tb.cgi/6513



