「独創性」は知識の蓄積でつくり出せる
優秀な人間が必ず備えていると考えられている能力に、すぐれた独創性や創造性があります。
しかし、ビジネスでなにがしかの成果を上げるために、「独創性」や「創造性」は本当に必要なのでしょうか。
あるいは、「独創性」や「創造性」とはいったい何でしょうか。
実際の成功者を例に考えてみましょう。
ウインドウズというOSソフトで世界を席巻したマイクロソフト社のビル・ゲイツのケースです。
彼の大成功は、彼自身の卓越した「創造性」や「独創性」によるものでしょうか。
判断が難しいところではありますが、現実の問題として、彼がやったことは、それまでマッキントッシュが取り入れていたパソコンの操作スタイルを、世界市場の主流だった1BMコンパチブルマシーンに導入したにすぎないという見方もできるのです。
そうなると、マイクロソフト社の成功は、単純にビル・ゲイツの独創性や創造性のたまものと考えることはできないわけです。
私個人の意見としては、このケースはむしろ、過去にどのようなものが消費者にうけていたかという知識、コンピュータ業界のマーケティング知識、自らのプログラミング知識などを用いて、ヒット商品の企画を導き出した好例と考えます。
一口に独創性、創造性といっても、それがどういう能力を指すかは、定義が難しい面があります。
ビジネスでも学問でも、無から有を生み出すことは実際にはほとんどありえないのです。
じつは、独創性や創造性を育てる教育は、その必要性を訴える人たちによってこれまでいろいろな形で試みられてきましたが、残念なことに、いまだに有効な方法は見つかっていません。
諸外国ではどこの教育現場でも、独創性を「創り出す」「育てる」というより、むしろ独創的な人間の独創性を「引き出す」「壊さない」ことに主眼を置いているようです。
つまり、「独創性や創造性を育む」といっても、せいぜいがその個人の得意分野についてハイレベルなカリキュラムを与えたり、ひとつの問題に対して可能な限りさまざまな形で答えを用意させる、そして風変わりなアイデア、意見を決して押しっぶさないというやり方しかしていないわけです。
逆に、その程度の教育的配慮しか行っていないにもかかわらず、すぐれた独創性・創造性があると評価される人が現実に多数育っていることは、注目に値します。
独創性や創造性の定義、そしてこれをどう育んでいくかという問題は、ノーベル賞級の研究者を例に考えてみると明快な答えに行き着きます。
近年、科学者の世界では、大学院レベルの高い教育を受けていない人が高評価を受けるケースなどほとんどありません。
これは独創性・創造性といったものが、本来は無から有を生むような「ひらめき」ではなく、基礎的な知識を積み上げ、その上にさまざまな形で推論を行った先に成り立っていることを意味していると考えられます。
そんなことから私は、世間で蔓延しているいわゆる「独創性・創造性幻想」にあまり振り回されるべきではないと考えています。
ビジネスの世界でも同じことです。
研究者の世界とちがっていることは、学歴のない者が成功を収めるケースが現実に多々あるということです。
彼らは人があまり考えていないことを考え、それをビジネスとして構築し、「独創的な発想をもつ人」として成功しています。
実際のビジネスにつながっていなくとも、要は「発想」があるかどうかです。
たとえば、日本中がこぞってIT時代に突入しようとしているとき、これまで主流だった製造業のなかで新たなシステムを構築して活路を見いだしたり、高齢者が多い社会の特性を生かして高齢者産業のリーダーをめざすという発想に立つだけでも、ビジネスの世界では十分に通用します。
その背景に、それぞれの業界事情を知り尽くし、さまざまな推論を行ったうえに導き出された成功への方法論があれば、いうことはありません。
ビジネスで結果を出すことは、ノーベル賞級の研究に比べればそう難しいことではありません。
というのも、結果を出すために必要な独創性や創造性は、知識を蓄え、推論を行う思考プロセスを身につけるなかでその幅を広げていくことが可能だからです。
ビジネスで必要な独創性や創造性は、だれでも日頃のトレーニングで高めていくことができるのです。
そして、それが「大人の勉強法」の一番の特徴でもあります。
お気に入りのブックマーク・RSSに登録 »
関連記事
サイトマップカテゴリー:ビジネス思考力を鍛える勉強法
トラックバック(0)
http://blog.shigoto-shikaku.com/mt/mt-tb.cgi/6512



