「豊かな推論」には落とし穴がある
物事を多面的に見たり、起こり得る可能性を多様に考えることは、推論トレーニングとして有効です。
しかし、ときにはそれが思考の拡散を招き、実際の問題解決の場面では必ずしも有効に働かない危険があることにも触れておかなければなりません。
というのも、思考の拡散には、結論を出しにくくするというややこしい欠点があるからです。
ビジネスの現場でいえば、思いつくままにあれこれと検討しているだけではいつまでたっても企画はまとまらず、商品開発もできません。
これを「ブレインストーミングの落とし穴」といいます。
問題やトラブルを解決するとき、最も重要なのは焦点を見定めることです。
ビジネスの場合なら、まずなんのためにその行為を行うのか、目的を明らかにすべきです。
資格試験などの場合は、相手が求めている答えや能力を明確につかんでいないと、いたずらに推論の方向が拡散することになりかねません。
これができていないと、結局はワンパターンの解答しか出せないことになり、非実用的です。
ブレインストーミングの落とし穴にはまらないためには、課題をより明確に設定することが大切です。
たとえば、職場の会議などを例にとれば、「ある商品の売り上げを伸ばす」という上位目的をはっきりさせることで、話の脱線や方向性を修正することができます。
常に上位目的を意識することで、販売の対象をどうする、値引きはどの程度までできる、宣伝はどうするなどというように、幅広く検討されるすべての推論を本来の趣旨からはずすことなく進めることができるわけです。
仮に「課題が曖昧になっている」と感じたときは、なにを求めているかを上司やまわりに直接確認するのもいいでしょう。
大きな失敗や時間のロスを防ぐには、そのほうが無難です。
ただ、日本ではこの種の態度をとることが、「生意気」と受け止められ、相手から嫌われる原因になることもあります。
その点は考慮しながら、確認は慎重に試みる必要があります。
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