「可能性想定ゲーム」で逆転の発想を得る
複眼思考を取り入れたトレーニングと似たものに、ある状況を想定して、今後起こり得ることを可能なかぎり想定してみるやり方があります。
これを「多様な可能性の想定」と呼んでいます。
たとえば、IT革命という時代のキーワードを設定して、未来を予測するとします。
多くの人は、この言葉から短絡的な想像しかできず、「これからはコンピュータを勉強しなければいけない」「早めにパソコンを買って練習しなければならない」などと、ステレオタイプの発想に陥りがちです。
ところが、あらゆる可能性を考えていく思考を、心がけると、実際には思いもよらない点に気づくことがあるわけです。
たとえば、IT時代のいまだからこそ、「情報の取捨選択、判断といった人間の知的機能が重要になる」という逆転の発想に行き着くかもしれません。
携帯電話やゲーム機、カーナビがパソコンと同じ端末の役割を果たしているのを見て、世間でよしと思われているパソコンというたったひとつのビジネスツールの練習に励むより、入力はさらに簡易化されていくから、むしろ的確な文書を頭でつくる能力を身につけるほうが大事だという考えに向かうかもしれません。
意外なことに、「○○はもう古い」が口癖の、一見すると先進的な人のほぅが、概してひとつの可能性しか考えられない狭い了見の持ち主になる危険性が高いようです。
新しいことをやっている、新しい情報をもっているといぅ自信が、自分がもつアイデアや情報の確かさを疑えなくしているからです。
結果として、ほかの可能性が考えられなくなり、ひとつの見方に固執するステレオタイプになっているとしたら、これほど不幸なことはありません。
いわゆるディベートなどの場では、この種のステレオタイプの人が声の大きさを利用して話を有利に進めたり、ほかの可能性を考えて出された意見を「論点がずれている」と言下に否定する傾向が見られがちです。
テレビの討論番組などもまさにこのとおりですが、まわりで見る側としては、論破している人の意見を覆したり、つまらないものとして扱われるずれた意見から新たな可能性を検討する楽しみ方のほうが、推論のトレーニングには大いに役立ちます。
いずれにせよ、ときと場合に応じて、起こり得る可能性をなるべく多く考えられる柔軟な発想は、ぜひ身につけたいものです。
たったそれだけで、自分のなかの推論能力も豊かになるわけですから。
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