他人に依存する能力も「できるビジネスマン」の必須条件
ひとりの人間がもてる能力には限りがあります。
知識ひとつとってもそれは同じで、ある分野でスペシャリストになれたからといって、ほかのすべての分野でもスペシャリストになることは現実には不可能です。
ところが実際のビジネスでは、自分の理解している分野以外の知識を求められることが往々にしてあります。
そんなとき、自分で新たに勉強して知識を取り込むのもひとつの解決方法ですが、効率を考えれば、その知識をすでにもっている人を上手に利用するほうがベターな選択といえるでしょう。
たとえば、身のまわりに豊富な知識をもつ知り合いがたくさんいたとします。
自分自身に知識はなくても、その人たちから正しい情報を引き出す能力に長けていれば、なんら不都合はありません。
自分のもつ知識以上のものをあたかも外付けのハードディスクとしてもっているようなものだからです。
推論の材料となる知識を、このようにアウトソーシングできれば、これほど便利なことはありません。
現実のビジネスの世界でも、知識のある知り合いを数多くもつ対人関係能力に長けたビジネスマンは、「できる人」として高い評価を得ています。
現代は、たしかにインターネットを通じていくらでも情報が手に入る時代ですが、そのこと自体はまわりに対して優位性をもつものではありません。
豊富な情報から適切に取捨選択を行い、推論に役立つ形で提供してくれる点で、やはりその道の専門家からの知識提供に勝るものはないように思います。
これは自分の認知状態をモニターするメタ認知にしても同じです。
客観的視点を必要とするメタ認知は、だれもが独力で簡単にできるものでないことはいうまでもありませんが、その一方で、必ずしも自分自身で行う必要もないわけです。
そもそも人間の感情の力は驚くほど大きく、人が感情的になると、メタ認知によって推論の修正をすることが困難になる傾向があります。
人によっては完全に自分を見失ってしまうこともありますから、場合によっては自分の認知パターンや感情状態をより客観的な立場からモニターしてもらうほうが、より実際的なメタ認知機能を果たすこともあるはずです。
感情状態によって人間の推論、認知パターンが変わるということは、精神医学の世界では常識になっています。
うつ病になると認知が悲観的になり、ひどいときには妄想まで生じるのはその一例です。
こうしたゆがんだ認知パターンを変えるために、プラス思考や他の認知パターンの可能性を提供することで悲観的認知を矯正する認知療法なども生み出されましたが、少なくともうつ的感情に支配されている状態の人が手助けなしに独自にできるものではありません。
現実の問題として、うつ病患者に認知療法を伝授して自分でやらせるより、認知療法家を介して認知パターンを変えていくほうがはるかに治療は容易です。
すなわち、ここでいうところの認知療法家に当たる他者、認知パターンの修正に長けた協力者の存在があれば、場合によってはより実際的なメタ認知が行えるというわけです。
人の意見やアドバイスが素直に聞けるだけでなく、自分に意見をいってくれる友人、ブレーンを上手につくる能力に長けた人が社会で高い評価を受けているのは、まさにそのような理由からなのです。
さておき、「ビジネス心理戦」に長け、すぐれたビジネス思考力を持つ二一世紀型「できるビジネスマン」の条件を、もう一度整理しておきましょう。
- (1)思考の材料となる十分な知識を備えている
- (2)その知識をもとに幅広いバリエーションの推論ができる
- (3)推論の誤りに気づき、それをそのつど修正しうるメタ認知力に優れている
- (4)メタ認知によって、自分の感情状態を知り、それをコントロールできる
- (5)共感能力をもち、他人の心を理解している
- (6)対人関係能力にすぐれ、問題解決に協力者の手助けを受けられる
厳しい不況風が吹き荒れ、先行きが不透明な時代。
そのなかで未来の生活を不安のないものにするには、これらの能力を備えていくための「大人の勉強」に励むしかありません。
今後、テクノロジーはさらに進歩していくでしょうが、ここに示した「二一世紀型できるビジネスマン」像が大きく変わることはないでしょう。
あとはあなた自身が現実をどう受け止め、当サイトのアドバイスを生かして「大人の勉強」にいかに努力するかにかかっているのです。
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