IT時代の「できるビジネスマン」はアタマと心を鍛える
学歴秀才、知識重視型の頭のよさは「すぐれた人」の条件ではない、あるいは、競争社会、能力主義社会に変わりつつあるとはいっても頭がよくないと競争に勝ち抜けない、などという話を最近よく耳にします。
これらは一見すると矛盾したことをいっているように聞こえますが、そうではありません。
いつの時代も、「頭のよい人間」が高い評価を受けることに変わりはないものの、「頭のよい人間」の定義そのものが、そのときどきによって変化することを意味しているにすぎないのです。
それでは、二一世紀を迎えて高い評価を受ける「頭のよい人間」「できるビジネスマン」とは、いったいどのような能力を備えた人なのでしょうか。
こうした問いに私は、「それは『ビジネス心理戦』に強く、問題解決能力の高い、ビジネス思考力にすぐれた人である」と自信をもって答えます。
ビジネスの世界はもともと、さまざまな問題やトラブルの連続です。
バブル崩壊後、厳しい不況にさらされて変化を余儀なくされているいまの時代は、なおさらでしょう。
そんな事情も手伝って、問題やトラブルを速やかかつ巧みに処理し、解決に導くビジネスマンの評価がいっそう高まっています。
二一世紀型「できるビジネスマン」の条件として、「ビジネス心理戦」を戦い抜く能力、さらには、高い問題解決能力をもつビジネス思考力を備えていることは、まさに不可欠なのです。
テクノロジーの進歩が著しい近年、人間の生活は楽になり、驚くほど便利になりました。
しかしながら、それら技術の進歩は道具の進歩にすぎません。
どんなにすぐれたテクノロジーでも、人間のかわりに目の前に山積する問題やトラブルを解決する役割までは果たしてくれないのです。
それどころか、IT革命が声高に叫ばれるなか、テクノロジーの進歩はむしろ、問題解決能力やビジネス思考力のある人間とない人間の差を広げています。
そのことを理解しないと、これから先にどんな努力をしても、時代に取り残されて生き残れないこともありうるのです。
このことは、電卓を例にとって考えてみるとよくわかります。
数学の解法をたくさん知っている人、すなわち問題解決能力を備えた人が使えば、電卓は驚くほど効率よく問題を解くことができるすぐれたビジネスツールになります。
しかし、電卓そのものは数学の不得手な人たちの悩みを解決するものではありません。
それは裏を返せば、解法を理解しない人が電卓から受ける恩恵など、実際にはほとんどないことを意味しているわけです。
IT関連の新しいビジネスツールにしても、これとまったく同じことです。
コンピュータやインターネットを使えば、計算や情報収集などこれまで時間をかけていた過程を省略できるのはたしかです。
が、そこで享受できるメリットは、新たなビジネスツールを使いこなす側の能力によって大きな差が生じるものなのです。
つまりは、ハードの力を借りて計算力や情報収集力をアップさせることはできても、集めた情報を分析し決断するといった、ビジネスで最も肝心な部分をカバーするには至らないということです。
これから先、テクノロジーはさらに飛躍的な進歩を遂げるでしょうが、それは単なる道具の進化でしかありません。
すぐれたビジネスマンをめざすうえで身につけなければならないのはむしろ、ビジネスツールを効率よく使いこなして最良の結果を導き出すカ − すなわち、情報の分析力と決断力なのです。
さらにいえば、豊富な知識をもとに適切な分析や決断が行える「IQ(知能指数)の高い人」というだけでは通用しないでしょう。
「できるビジネスマン」には、「EQ(心の知能指数)の高さ」も必要なのです。
こう書くと、「そんな理想の高いことをいわれても自分には無理だ」と思われる方もなかにはいるかもしれません。
しかし心配には及びません。
これらの能力は、勉強によって誰しも身につけることが可能なものなのです。
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